Installation

本書ではKAMONOHASHIのインストール方法、アンインストール方法、バージョンアップ方法について説明します。

インストール方法

ベーシッククラスタの構築

構成について

KAMONOHASHIのクラスタは次の4種類のサーバーで構成されます

マシーン

  • Kubernetes master: ディープラーニングの実行スケジューリング等に使用します
  • KAMONOHASHI: KAMONOHASHIのWEBシステム(Web,DBコンテナ)で使用します
  • Storage: 学習用データと学習結果ファイルの保管に使用します
  • GPUサーバー: ディープラーニングの実行に使用します

ベーシッククラスタ構成では、Kubernetes, KAMONOHASHI, Storage に1台ずつのマシンと、 複数台のGPUサーバーを想定しています

構築の準備

  • マシンを用意します
    • 物理または仮想のマシンを3台(Kubernetes, KAMONOHASHI, Storage に使用)
    • NVIDIA GPUを搭載したマシンを1台以上
  • 全てのマシンがAMD64(Intel 64bit CPU)である必要があります
  • 各サーバーの最小リソース要件は下記になります。
    • データ・ユーザー数・実施するディープラーニングの内容に応じて下記よりも多く必要になる場合があります
    マシン種別 CPU メモリ 備考
    Kubernetes master 2 コア 2 GB  
    KAMONOHASHI 4 コア 8 GB /var/lib/に10GB以上の空き容量
    Storage 1 コア 2 GB /var/lib/に学習データ・学習結果ファイル分の空き容量
    GPUサーバー 2 コア 2 GB Fermi (2.1)より後の世代のNVIDIA GPU, /var/libに1学習分のデータが入る空容量
  • 全てのマシンに Ubuntu Server 16.04 をインストールします
  • 全てのマシンに共通のアカウントでsshログインできるようにします
    • そのアカウントが全てのマシンでsudoできるようにします
    • sshキーを使用する場合は、id_rsaファイルをKubernetes masterマシンの/root/.ssh/に所有者root、パーミッション0600で配置します
  • 用意したマシンの名前解決が出来るようにします
    • KAMONOHASHIユーザーの端末、各マシン上で名前解決可能にします。DNS利用を強く推奨します。
  • NTPを設定し、各マシンの時刻を揃えます
  • 各マシンがインターネットアクセス出来るようにします
  • GPUサーバーにGPUドライバをインストールします。

構築方法

  • Kubernetes master用に用意したマシンにログインします
  • root userで次を実行します
    KQI_VERSION=1.1.8 
    wget -O /tmp/deploy-tools-$KQI_VERSION.tar.gz https://github.com/KAMONOHASHI/kamonohashi/releases/download/$KQI_VERSION/deploy-tools-$KQI_VERSION.tar.gz
    mkdir -p /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/$KQI_VERSION/
    cd /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/$KQI_VERSION/
    tar --strip=1 -xf /tmp/deploy-tools-$KQI_VERSION.tar.gz
    ./deploy-basic-cluster.sh deploy
    

    対話形式で設定が聞かれるので、下記に従って設定を入力します

ターミナル

対話形式で以下の項目の質問に答えます。[y/n]形式での質問は大文字の方がデフォルトの値です。

質問文 解説
Kubernetes masterを
デプロイするサーバ名
 
KAMONOHASHIを
デプロイするサーバ名
 
Storageをデプロイするサーバ名  
GPU サーバ名 ,区切りで複数指定できます。
例: gpu1,gpu2,gpu3
SSHユーザー名 構築の準備で用意したSSHユーザー名を指定します
SSHパスワード SSHにパスワードを使用する場合は入力します。
SSH認証キー~/.ssh/id_rsaを使う場合は何も入力せずにEnterを押してこの項目はスキップします
SUDOパスワード パスワードなしでsudoコマンド実行可能な場合は何も入力せずにEnterを押してこの項目をスキップします
プロキシを設定しますか? [y/N] プロキシ環境にデプロイする場合はyを入力して
http_proxy, https_proxy, no_proxy
を設定します
no_proxyはこれまでの入力内容を元に必要なものが自動生成されます。
自組織のドメイン等を生成されたno_proxyに更に追加することもできます
KAMONOHASHIのadminパスワード adminアカウントで使用する8文字以上のパスワードです。数字のみのパスワードは使用不可となっているので注意してください。KAMONOHASHI Web UIログイン・DB接続、Object Storageへのログインに使用します。
一度構築に使用したパスワードはデプロイツールでは変更できません。パスワードを変える場合は、完全にデータを削除するか、パスワード変更手順を実施する必要があります。パスワード変更手順は[kamonohashi-support@jp.nssol.nipponsteel.com]にお問い合わせください

これでKAMONOHASHIのインストールは完了です。 チュートリアルに進みKAMONOHASHIを用いたAI開発を開始しましょう!

カスタマイズしたクラスタの構築

  • ベーシッククラスタの構成では要件が足りず、カスタマイズしたい場合は[kamonohashi-support@jp.nssol.nipponsteel.com]にお問い合わせください

アンインストール方法

  • ./deploy-basic-cluster.sh cleanを実行するとソフトウェアがアンインストールされます。
    • このコマンドではKAMONOHASHIの内部データ(データベース, ストレージのデータ)は削除しません
      • adminパスワードも保存されたままです
    • 再度デプロイすると過去のデータベース, ストレージの中身を引き続き使用します
    • 完全にデータを削除する場合は KAMONOHASHIノード, STORAGEノードの 2台で/var/lib/kamonohashi を削除してください
      • 構築に失敗してやり直す際にパスワードも変更する場合はこのディレクトリを削除してください

バージョンアップ

バージョンアップには次の2種類のバージョンアップがあります

  • KAMONOHASHI Webアプリのみのバージョンアップ
  • k8sなども含めたインフラ全体のバージョンアップ

どちらもバージョンアップするバージョンのデプロイツールを準備する必要があります

デプロイツールの準備

  1. 現在のKAMONOHASHIのバージョンをシェル変数で指定します
    OLD_KQI_VERSION=1.0.0
    
  2. 次のコマンドを実施して新しいデプロイツール取得と設定ファイルのコピーを行います
    KQI_VERSION=1.1.8 
    wget -O /tmp/deploy-tools-$KQI_VERSION.tar.gz https://github.com/KAMONOHASHI/kamonohashi/releases/download/$KQI_VERSION/deploy-tools-$KQI_VERSION.tar.gz
    mkdir -p /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/$KQI_VERSION/
    cd /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/$KQI_VERSION/
    tar --strip=1 -xf /tmp/deploy-tools-$KQI_VERSION.tar.gz
    cd /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/
    cp -nr $OLD_KQI_VERSION/infra/conf $KQI_VERSION/infra/
    cp -nr $OLD_KQI_VERSION/kamonohashi/conf $KQI_VERSION/kamonohashi/
    mkdir -p old
    mv $OLD_KQI_VERSION old/
    

KAMONOHASHI Webアプリのみのバージョンアップ

デプロイツールの準備を実施後に次を実施してください

cd /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/$KQI_VERSION/kamonohashi/
./deploy-kqi.sh update

1.1.0以前のバージョンから1.1.0以降へのアップデートを行った場合、既存のノードにはNotebook実行可否オプションが”実行しない”に設定されます。 既存のノードでノートブック機能を利用可能とするには、システム設定のノード管理より、Notebookの実行可否オプションを”実行する”に変更してください。

k8sなども含めたインフラ全体のバージョンアップ

現在デプロイツールでは古いバージョンのアンインストールと新しいバージョンのインストールによるアップグレードのみ可能です。 それは次を考慮しているためです。

  • k8sを2マイナーバージョン以上アップデートできる
  • マシンの移行も同じ方法でサポートできる
  • cordonとuncordonによる無停止アップグレードは、ディープラーニングの動いているシステムでは難しい
    • ディープラーニングジョブがノードからはけるのに数日かかることからクラスタ全体のアップグレードでは数週間が必要になるためです

インフラ全体のバージョンアップ手順は次になります

  • 古いバージョンのデプロイツールでアンインストールを実行
    • 詳細はアンインストールの項目を参照
cd /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/$OLD_KQI_VERSION/
./deploy-basic-cluster.sh clean

* 新しいバージョンのデプロイツールでインストールを実行

  • 詳細はインストールの項目を参照
  • パスワードは初期構築時と同じものを指定してください
cd /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/$KQI_VERSION/
./deploy-basic-cluster.sh deploy
  • 注意事項
    • デプロイツールやKAMONOHASHI WEBアプリ外で手で入れた設定は元に戻ります

バージョンダウン

KAMONOHASHI Webアプリのバージョンダウン

バージョンダウンは、バージョンアップ以前のデプロイツールを用いることで行います。以前に利用したデプロイツールは、k8sノードで以下のコマンドを実行することで確認できます。

ls /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/old

確認した中で、バージョンダウンする番号をメモし、以下のコマンドを実行します。

cd /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/old/{バージョン番号}/kamonohashi/
./deploy-kqi.sh update

DBの切り戻しを含むバージョンダウン

KAMONOHASHIのアップデートを行う際に、下記のバージョンではDBに対するマイグレーション適用が実施され、テーブル変更が行われています。そのためマイグレーション適用後のバージョンから、それ以前のバージョンに戻す際には、切り戻し用スクリプトを実行してDBの切り戻し作業を実施する必要があります(作業中はKAMONOHASHIのサービスが停止します)。 この作業を行った場合、マイグレーション適用後にのみ存在しているテーブルおよびカラムに格納されていたデータは削除されるため注意してください。例えばv1.1.0からv1.0.3にバージョンダウンする場合は、ノートブック機能で管理していた情報は削除されます。

version Migration 主な変更
v1.0.0 20190515093033_v1.0.0 初期構築時
v1.1.0 20190821040509_v1.1.0 ノートブック機能用テーブル追加
v1.1.3 20190911075454_v1.1.3 zip機能利用履歴保持用カラム追加
v1.1.5 20191113041648_v1.1.5 ノートブックへのマウント学習ジョブを管理するための追加
v1.1.6 20200114063435_v1.1.6 ノートブックの無期限利用フラグ用カラム追加

1.1.6からバージョンダウンする場合の、DB切り戻しスクリプトの実行例

  1. /var/lib/kamonohashi/deploy-tools/1.1.6/rollback/rollback.shを実行します。
  2. デプロイされているKAMONOHASHIのバージョンに1.1.6、戻したい時点のMigrationファイルに20191113041648_v1.1.5を入力します。
  3. DBの切り戻し処理が終了するまで数分間待機します。
  4. 切り戻し処理終了後、再デプロイ可能なバージョンの一覧が表示されるため、戻したいバージョンを指定します。
  5. KAMONOHASHIのWEB画面にアクセスし、バージョン情報より、バージョンが戻っていることを確認します。

DB切り戻し操作の様子

外部サービスとの互換性

動作を確認した環境は以下の通りです。

KAMONOHASHI GitLab MinIO LDAP Kubernetes
v1.0.1以降 11.8以降 RELEASE.2019-01-23T23-18-58Z version 3 v1.12.7,v1.14.1
v1.0.0 11.7以前 RELEASE.2019-01-23T23-18-58Z version 3 v1.12.7

v1.0.0では11.8以降のGitLabに対応していませんので注意してください。